餅をつくときに餅をひっくり返す人。
餅つきというのは、杵を持った「つき手」と、もうひとり、餅をひっくり返す役のふたり一組で行われるというのが基本です。
漫才でいえば、ぼけと突っ込みです。
この「つき手」の「相方」というか「相棒」は何というのだろうか。
では、餅つきが行われようとしている現場から、リポーターがその模様をお伝えしよう。
ここは新潟県の、とある農家の庭先です。
「いま蒸しあがったもち米が臼に入れられました。
湯気がもうもうとあがっています。
つき手の方が、いま杵を水で濡らしたあと、餅をこね始めました。
腰に重心をかけて、餅を押すようにこねています。
こねながら、ときどき杵に水をつけています。
あ、ここでもうひとりの方が登場しました。
臼の横にあるバケツで手を濡らして、杵についた餅を取り、臼の中の餅をひっくり返し始めました。
ひっくり返しながらときどき水をつけて、ペタペタと餅を叩いたりしています。
あ、準備ができたようですね。
つき手の方が、手に唾をして杵をしごくようにして持ち直しました。
あ、杵が振り下ろされました。
と同時に、もうひとりの方が手に水をつけて、すばやく餅をひっくり返しました。
阿咋の呼吸というんでしょうか、ほとんど言葉を交わさずに餅つきがはじまりました。
スタジオの露木さん、『ペッタン、ペッタン』という、小気味のいい音が聞こえますでしようかL「聞こえますよ、おいしそうな餅がつきあがりそうですね。
ところで、福井さん、杵を持ってつく方は『つき手』ということでわかるんですが、もうひとりの餅をひっくり返す人は何というんですか?」「すみません。
わたしもいまリポートを始めて気がつきました。
何とお呼びするのか、ご本人に聞いてみます。
あの、お仕事中すみません。
この、餅に水をつけてひっくり返す役は何というんでしょうか」
「あ、ちょっと、そこにいるとあぶねえよ」
「すみません、あの」
「あぶねえってば」
「あの、あなたがやってらっしゃる・・・・・」
「なにい?」
「ですから、ウッ、痛っ!」
「大変だ、杵で頭ぶたれただ」
「福井さん、福井さん、スタジオの露木です。大丈夫ですか」
「ウーン・・・・・」
というように、名前がわからないために、思わぬアクシデントを招くことになってしまった。
幸いにも、福井アナのケガはたいしたことはなく、軽い打撲傷で済んだ。
中継終了後、福井アナは地元の人たちとつきたての餅を食べながら、再度同じ質問をぶつけたのだった。
「あの、さっきの質問ですけど・・・・・」
「ああ、餅をひっくり返す役か。ま、ふつうは『相の手』とか呼んでるけどな」
「相の手ですか。なるほど。しかし、つきたての餅というのはホントに、ウッ・・・・・」
「大丈夫け?大変だ、今度は餅をのどに詰まらせただよ」
「サトーの切り餅」
でおなじみの佐藤食品によると、「地方によって呼び方は違うかもしれませんが、こちら(新潟)では『相の手』といってます。
また、餅をひっくり返したり、水をつけることを『相どり』といってます」
(注・・・・・「餅つき中継」はフィクションであり、実在の団体や個人とは一切関係がありません)